ご挨拶

医薬品開発は、国の新成長戦略の一つとして位置づけられており、大学や研究機関が持つ創薬シーズを有効利用し、企業との連携による新薬開発を促進することが求められています。文部科学省はこのために、最先端研究基盤事業「化合物ライブラリーを活用した創薬等最先端研究・教育基盤の整備」事業を開始し、その実行部隊として九州大学を含む国内6拠点を選定しました。九州大学はその拠点基幹大学として機能するために、薬学研究院、医学研究院、生体防御医学研究所(生医研)、九州大学病院(TR高度先端医療センター)、および理学研究院の協力のもと、東京大学創薬オープンイノベーションセンターが保有する20万化合物ライブラリーあるいは企業の化合物ライブラリー等を利用し、癌、免疫、難治性疼痛、心循環、肺呼吸器疾患のなかでアンメット・ニーズの高い疾患をターゲットとする新薬シーズ発見に全力を注ぎます。そして、九州地域の各大学が保有する創薬シーズを見出すことを目的に、外部開放型ラボスペース・九州大学コラボステーションIIに多検体スクリーニング設備を設置し、外部供用のための体制を確立し、多検体スクリーニング拠点を構築しました。また、九州地域の大学(九州大学、熊本大学、鹿児島大学、大分大学、長崎国際大学、福岡大学、第一薬科、宮崎国際医療保健大)の代表による九州地区多検体スクリーニング拠点の運営管理委員会を設立し、さらに九州薬科学研究教育連合および九大病院TRセンターが有するネットワーク等を通じて、各大学が保有する新たな創薬シーズを取り込み、多検体スクリーニングにより魅力的な医薬品候補を絞り込むことを企画しております。

一方、本事業のもう一つの特徴は、通常の化合物のスクリーニングから最適化された誘導体の合成に進む通常の創薬システムに加えて、できるだけ早く患者に新しいメカニズムによる新薬を提供する工夫として既に承認されている医薬品から目的とする作用を見出し創薬シーズとするエコファーマ(Pain Research, 2007)を並列して実践することです。

このような目的達成の為には皆様のご利用が必須であります。ふるってのご利用をお待ち申し上げます。

平成24年6月吉日
九州大学化合物ライブラリー創薬先端研究・教育基盤センター長
井上 和秀